2006年8月8日更新
奥能登の思い出、深く胸に 珠洲・日本ジャンボリー 5日間の交流に幕

 珠洲市蛸島町のりふれっしゅ村鉢ケ崎で行われた国内最大のボーイスカウトの祭典「第十四回日本ジャンボリー」は七日、閉幕した。国内外から参加したスカウト約二万千人が五日間にわたり、多彩なプログラムを通じて奥能登の自然、歴史、文化に触れ、キャンプ生活の思い出を深く胸に刻んだ。

 午後六時すぎから行われた閉会式には約二万人のスカウトや関係者らが出席。各国連盟旗や都道府県連盟旗がステージに登壇した後、中央に次回開催地の静岡県から富士第6団の山口亮磨君(14)、地元石川県からは加賀第3団の南川靖太君(14)が進み、「これからも積極的に活動を続け、新しいスカウトの風を起こしたいと思います」と感謝の言葉を述べた。

 続いて古賀正一ボーイスカウト日本連盟副理事長が閉会宣言。ボーイスカウト県連盟の西村稔理事長が静岡連盟の佐藤勇男理事長と固い握手を交わした。

 五日間燃え続けたメモリアルファイアが消され、山口君と南川君、富士第9団(静岡)の時田萌さん(14)の三人が「いやさか」を三唱、スカウト全員で大会歌を合唱し、友情をはぐくんだキャンプ生活の幕を閉じた。

 閉会式には山岸勇副知事はじめ、珠洲市の泉谷満寿裕市長、竹田泰蔵市議会議長らも出席した。

 金谷第1団(静岡)の丸山祐樹君(14)は「いろいろな経験ができ、とても充実した時間だった。生涯の思い出になる」と声を弾ませ、豊中第5団(大阪)の山中直人君(14)は「珠洲は空気もおいしくて、とても楽しくキャンプができた。ジャンボリーが終ったと思うととても寂しい」と話した。

 次回大会は二〇一〇年に静岡県の朝霧高原を会場に開かれる。

◎跡地の記念公園化検討 振興基金で宿泊施設構想

 日本ジャンボリーの成果を今後につなげるため珠洲市は、会場跡地を「ジャンボリー記念運動公園」(仮称)として整備する検討を始めた。課題の宿泊施設の拡充については、珠洲原発断念に伴い電力会社が同市に拠出した地域振興基金を活用し、公園内に建設する構想も浮上している。

 会場一帯には開会式や大集会に使われたアリーナをはじめ、野球場、テニスコート、グラウンドゴルフ場などがある。珠洲市はこれらの施設を一体的に活用、キャンプやスポーツ誘客を図り、野外活動の「聖地」にしたい考えだ。一周四百メートルの陸上競技やサッカーができる多目的グラウンドを新たに整備する案も出ている。

 しかし、人を呼び込んでも周辺には珠洲ビーチホテルのほか宿泊施設がないのが難点。このため市では現在約二十五億円が残る地域振興基金を活用し、宿泊施設を建設する構想を描く。

 今大会中、泉谷満寿裕珠洲市長は、新たなキャンプ誘致を狙い、精力的に海外参加団体も含め各県の野営地を回った。市によると、ボーイスカウトの都道府県連盟単位で実施するキャンプ大会「キャンポリー」で、同会場を使用したいとの申し込みが既に数件あったという。

 最終日の七日も会場で誘致のあいさつ回りを続けた泉谷市長は「大きなイベントでなくとも県単位、市単位で二度、三度とこの地を訪れてくれることを期待している」と話した。




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